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太陽と月

対と循環をテーマにした現代書作品シリーズ

本作《太陽と月》は、対立と調和を象徴するテーマをもとに制作された。太陽と月、阿吽、惑星と衛星など、相補的な存在を鳥筆の線で表現し、循環する関係性を探求している。2016年に大阪のTSUBASA KIMURA Museumで初展示され、翌年にはスイス・チューリッヒのSATOでも発表された。異なる文化圏で紹介されたことで、普遍的なテーマが持つ広がりを示す重要な作品となった。

【会場写真】

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《太陽と月》展示風景

​個々の作品が孤立せず、関係性の中で呼吸し、ゆるやかに繋がっていく構造。また、本作は、日本での展示に加え、現地の陶芸家とともに参加したグループ展として、チューリッヒの家具ショップでも紹介された。

 

TSUBASA KIMURA Museum (大阪), 2016

SATO(家具ショップ)(チューリッヒ・スイス), 2017

【作品写真】

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​「月」「日」(軸:各150cm)

月日 ―
照らすものと、照らされるもの。
満ちては欠ける、心のうつろい。
とめどなく流れ、とどまることを知らない。

 

金と銀の軸。その高さは、作者自身の投影とも言える。
相反と相補の関係が生まれ、離れ、結びつき、漂う構造をかたちづくる。「何者かになりたい」と「何者でもない」という相反する欲望、永遠と一瞬という二極のあいだで、心は輪郭を失いながら漂い続ける。

各作品には割印を施した。分かたれていても、もとはひとつ。その印は、離れたふたつをまた結ぶ記憶のしるし。いつか作品がバラバラになっても、割印をたどって、また、片割れと出会えるように。

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​「吽」「阿」(軸:各150cm)

「阿吽」は、始まりと終わりであり、衝動と沈黙でもある。
すべてはそのあいだに生まれ、やがて消えていく。
そこには常に、「どこから来て、どこへ向かうのか」という問いが立ち上がる。

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​「衛星」「惑星」「恒星」(軸:各150cm)

自ら輝く恒星 ― 太陽。
引かれながら軌道を描く惑星 ― 地球。
惑星に従いながらも、自らも回りつづける衛星 ― 月。

光、重力、時間という見えない力の中で、互いに影響し合いながら、それぞれの道を保ち続けている。
同じ墨の濃淡によって、存在の密度が表現されている。 ― 存在が確かであるのか、あるいは儚いのか、そのあわいを示している。

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​「直心」(軸:150cm)

「直心」——まっすぐな心。濁りなき心。ぶれない心。禅において、それは根源的な、悟りに至る心のあり方とされる。
書くという行為のなかで、時間を越え、存在を問い、葛藤を抱えながら、最後に残るこの心こそが、拠り所となる。

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