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百歌環

百人一首を現代書で再構成した映像作品シリーズ。

本作《百歌環》は、百人一首全ての和歌を万葉仮名に変換し、自然観と人の感情を重ねて映像化した実験的作品である。2014年、大阪のTSUBASA KIMURA Museumで発表され、書・文字・自然観が融合する新たな表現を切り開いた。

【会場写真】

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本作は、TSUBASA KIMURA Museum(大阪)にて開催されたグループ展「七人のデザイナー展」(2014)にて発表されたものである。
障子や掛け軸を模したモニターに“動く書”を投影することで、静と動、伝統とデジタルが交差する空間を立ち上げた。和歌と自然、思想と感情が、時の環のなかでゆるやかにめぐり合う、書と映像による構造実験である。

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百人一首を「二十四節気・七十二候」の季節感で分類し、それぞれの暦の言葉は、漢字又は万葉仮名に置き換えた。

陰陽五行の思想を軸に、一首を一季節にあて、四首で一年をめぐる構造とし、全体で二十五回の四季が巡る環(わ)の映像にした。二十五首ごとに「春・夏・秋・冬」がめぐる中、第三十六首では、作者自身の再生の感覚を重ね、特別な暦の節目を描いた。

映像は、映像作家・のむ氏と本悠馬氏による。
一首一季の詩を、光と動きによって映像として立ち上げていただいたものである。

作品No.26−30

​【作品No.26-30】

​映像

解説

[構成](*解釈の例。これらの遊びを100首に施して表現。)
No.28「山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば」(源宗于朝臣)

​→「山里は(者)ふゆそ(曽)さみ”始(し)”さ(佐)まさりけ(介)る ひと”鳴(め)”もくさも”蛙(か)”れぬとおもへば(八)」

*(〜)は変体仮名/”〜”は七十二候(万葉仮名遣い)

七十二候/蛙始鳴(かわずはじめてなく)「夏」*旧暦

陰陽五行/夏「赤」・太陽「南」

作品No.31−34

​【作品No.31-34】

​映像

解説

No.31

No.33

No.32

No.34

[構成]*(〜)は変体仮名/”〜”は七十二候(万葉仮名遣い・音訓など)
No.31「朝ぼらけ 有明の月と みるまでに吉野の里に ふれる白雪」(坂上是則)

​→「あさほらけ(介)有”鳴(なく/めい=明)”の”告(つ)”き”と(鳥)”み(三)るまてに(二)よ”春(し)”ののさとに(尓)ふれ(連)るし(志)らゆき」

七十二候/黄鶯睍睆(うぐいすなく=”春告鳥(うぐいす)鳴”)「春」

陰陽五行/春「青」・太陽「東」

No.32「山川に風のかけたるしがらみは 流れもあへぬ紅葉なりけり」(春道列樹)

→「山川に風のかけ(介)”出(た)”るしか(可)ら”美(み)”はなか(可)れも(毛)あへぬも”美(み)”ちな(那)りけ(介)り(里)

七十二候/蚯蚓出(みみずいずる=美美出(みみ・ず+いずる))「夏」

陰陽五行/夏「赤」・太陽「南」

No.33「ひさかたの光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ」(紀友則)

→「ひさか(可)たの光の(能)とけ(介)き(支)春の日に(二)しつこころなく花のちるらむ」

七十二候/寒蝉鳴(ひぐらしなく=ひらし・な+く)「秋」

陰陽五行/秋「白」・太陽「西」

No.34「誰をかも しる人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに」(藤原興風)

→「たれを”香(か)”もしる人に(尓)”盞(せ)”むた(多)か(可)さ”金(こ)”の(能)まつもむか(可)しのとも(毛)ならな(那)くに(二)」

七十二候/金盞香(きんせんかさく)「冬」

陰陽五行/冬「黒」・太陽「北」

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