
HOME > 書の世界 > インスタレーション作品 >代表作ー《Crowded1/3》
《Crowded 1/3》
空間と文字が交差する。
本作《Crowded 1/3》は、薄いシルクオーガンジーに文字を書き込み、透過する支持体を通して線が漂い、重なり、背後の風景や空間をも映し込む構造を生み出した。2006年、京都のギャラリーはねうさぎで初展示され、その後国内外で再展示されると ともに、派生作品や商業空間での展開へと発展した。インスタレーション作品における代表作として、後の活動の基盤を築いた重要な一作である。
【会場写真】

高さ 187 cm × 幅 107 cm × 17枚
素材:墨、シルクオーガンジー
《Crowded1/3》
展示風景線の重なりを精緻に制御した文字が、空間の中に浮かび上がる構成。
初出:ギャラリーはねうさぎ(京都), 2006
【作品説明】
目に映るものと、掴みきれないもののあいだ
空間と文字が交差するこの作品は、書を「読む」行為から解き放ち、線そのものの存在感を体験させることを目的としている。薄いシルクオーガンジーに書かれた文字は、線の重なりと密度を精緻に制御することで、見る位置や距離によって初めて形が見えてくる。その透過性は、背後の景色や人の気配を取り込み、光と影の作用によって刻々と変化する。
文字は、意味を排した自作の日本語を用いることで、記号としての文字を純粋な形に還元し、目に映るものと、掴みきれないもののあいだを浮かび上がらせる。この造形は、単なる図像や抽象画ではなく、「書」という行為がもたらす速度・呼吸・身体性によって初めて成立する。筆の動きが生む線は、身体の重みと時間の流れをそのまま刻み、他のメディアでは再現し得ない気配と物質感を空間に漂わせる。観る者はその場に足を踏み入れることで、視覚だけでなく身体感覚を通して、線が空間に漂う瞬間を経験する。そこには、「書」でしか開くことのできない感覚の領域が広がっている。
【作品写真】


【展示風景動画】

【この作品の招待・再展示】
海岸通ギャラリーCASO

2006.8
《Crowded 1/3 high》
会場:海岸通ギャラリーCASO(大阪・日本)
区分:再展示
ー天井高を活かした縦方向の展示構成に改編。
【会場写真】

高さ 375 cm × 幅 107 cm × 27枚
素材: 墨、シルクオーガンジー
旧岡田家住宅(重要文化財)
2006.11
「第1回伊丹市蔵富都タウンミュージアム展」 招待作家
会場:旧岡田家住宅(伊丹・日本)
区分:招待・再展示
ー町家空間の奥行きと間取りを活かし、作品の広がりを拡張する構成に再編。
【会場写真】


高さ 200 cm × 幅 107 cm × 27枚
素材: 墨、シルクオーガンジー
ロストック美術館

2007.4
「GJアートレインボー展」 招待作家
会場:ロストック美術館(ロストック・ドイツ)
区分:招待・再展示
ードイツの美術館空間に合わせ、展示構成を再編成し、現地制作も含めて、軸に仕立てて展示した。
【会場写真】

Casa de Cultura
2011.3
「時の痕跡、言葉の痕跡:日本からのアーティスト展」 招待作家
会場:Casa de Cultura(ブエノスアイレス・アルゼンチン)
区分:招待・再展示
ー現地展示環境に合わせて布構造を再構成。
【会場写真】


阪急阪神百貨店うめだ本店

2011夏
梅田阪急百貨店ディスプレイ
会場:阪急うめだ本店(大阪・日本)
区分:再展示(商業空間)
ー商業空間において、素材の質感と構造美を活かした。