


ひらがな基礎資料
― 書く前に、動きを見る資料 ―
■この資料の使い方
このページは、ひらがな46文字を「形」ではなく「筆の動き」として、静かに観察するための資料です。練習や課題はありません。必要なところだけ、自由にご覧ください。
■観察の視点について
この資料でお伝えしたいのは、 文字を完成した形として覚えることではありません。文字は本来、 あらかじめ決まった図形ではなく、 筆が動いた結果として現れるものです。そのため、 「この形が正解」 「この線が正しい」 という、たった一つの答えは存在しません。大切なのは、 筆が動ける範囲の中に、破綻なく収まっているか という一点です。
正解は一つではなく、「正解の範囲」がある
ひらがなを見ていると、 同じ「あ」でも、人によって少しずつ違って見えます。それは、間違いではありません。
筆には、
-
大きさ
-
毛の状態
-
動かす速さ
-
紙との相性
といった違いがあり、 それらが変われば、 現れる形も自然に変わります。
それでも、 筆の動きとして無理がなく、 全体として破綻していなければ、 それは「正解の範囲」に入っています。この講座では、 その正解の範囲を見極めるための視点を、 1日ずつ、段階的に示していきます。
なぜ「筆」を観察するのか
ペンや鉛筆は、 最初から線の太さや形が固定されています。
一方、筆は、
-
動かし方
-
速さ
-
抑え方
-
離れ方
によって、 同じ動きでも、結果が変わる道具です。
だからこそ筆は、 「形をなぞるための道具」ではなく、 動きと結果の関係を体感できる道具だと言えます。
筆で文字を観察すると、
-
なぜこの形になるのか
-
どこで無理が出ているのか
-
どこまでが許容範囲なのか
が、自然と見えるようになります。
■PDF資料について
本資料に付属するPDFは、必ず「なぞり書き」をするためのものではありません。動画で動きを確認したあと、
-
毛筆でなぞっても
-
鉛筆やボールペンでなぞっても
-
見本として眺めるだけでも
どの使い方でも構いません。ご自身の生活や筆記具に合わせて、自由にご活用ください。
■まとめ
ひらがなの書き方を見るための「10の視点」について
この資料では、「この文字はこう書きましょう」という書き方の正解をお伝えしていません。
その代わりに、筆の動きや形を“どう見ればよいか”という視点を、段階的に示してきました。
ひらがなは、一画一画を頑張っても整いません。見る順番を間違えると、大事なところが見えなくなってしまうからです。そこで、この資料では見る対象を、あ行から順に少しずつ広げていく
構成にしています。
あ行|穂先の通り道
最初に見るのは、文字の形ではありません。穂先がどこを通っているかです。線は結果であって、実際に紙に触れているのは穂先です。ここで、「筆先がどう動いているかを見る目」をつくります。
か行|点画のつながり
次に見るのは、一画一画の関係です。点画は、独立して存在しているのではなく、前後の画とつながって意味を持ちます。形を整えようとする前に、どう関係して続いているかを観察します。
さ行|はらいの形
ここで初めて、目に見える「形」に注目します。ただし、はらおうとする必要はありません。動きの結果として現れている形を見ます。形は「作るもの」ではなく、生まれているものだということに気づく段階です。
た行|筆運び
た行では、画から画へ移るときの筆の運びそのものを見ます。速さや角度を真似する必要はありません。
「どのようにつながって動いているか」を観察してください。
な行|全体のつながり
ここから視点を、文字全体へ広げていきます。部分ではなく、一文字として途切れずに見えるか。
点・線・動きが、一つの流れとしてまとまっているかを見ます。
は行|線の表情
は行では、線そのものの表れ方に目を向けます。太さ、細さ、抑揚、入り抜き。
どれも操作する必要はありません。どう現れているかを見ることが大切です。
ま行|形の収まり
ここでは、文字全体が無理なく落ち着いて見えるかを見ます。
一画一画を決めようとせず、「自然にその場に収まっているか」という視点で観察します。
や行|リズム
や行では、動きの速さや間によって生まれるリズムに注目します。同じ速さで書かなくて構いません。
書いている動きの中にある調子を感じ取ってください。
ら行|抑えのある動き
ら行では、動きながらも暴れない、抑えのある動きを見ます。流れているのに、最後は整って終わる。その状態を観察します。
わ行|全体の印象
最後は、ここまで見てきたすべてをまとめて、全体の印象を見ます。読みやすいか、落ち着いているか、心地よいか。細部ではなく、一文字としてどう見えるかを感じてください。
この順番で見る理由
この順番は、 上達の段階を示しているわけではありません。見る視点を、 「点」から「全体」へ、 少しずつ広げているだけです。今は、 すべてを同時に意識する必要はありません。 その行で示したポイントだけを、 静かに観察してみてください。見る目が整えば、 書き方はあとから必ず変わっていきます。
■この資料の終わり方
ここで目指しているのは、きれいな字を書くことではありません。
文字を見る目を、静かに整えることです。穂先の通り道を見る。点画のつながりを見る。筆運びを見る。全体の印象を見る。そうして視点を広げていくと、文字は「形」ではなく、動きの痕跡として見えてきます。
文字は、正解を当てるものではありません。そのときの筆の動きとして、無理なく、破綻なく収まっているか。その幅を理解できるようになると、書くことは一気に自由になります。
この資料は、「文字を形で覚える」学びから、「文字を動きとして理解する」学びへ視点を切り替えるためのものです。
まずは、よく見てみること。そこから、すべてが始まります。
■補足
この視点を、もう少し続けたい方へ
この資料では、ひらがなを「書く方法」ではなく、「どう見るか」という視点を扱いました。
もし今、この見方を日常の中でも続けてみたい、筆を持つ時間を、暮らしの中に取り入れてみたい、そんな気持ちが自然に芽生えていたら、実用書講座は、その延長線上にあります。
実用書講座では、漢字の点画や構造など、書の基礎となる考え方から始め、宛名書き・のし書き・手紙など、生活の中で使う文字を題材に、筆で文字を書くための土台を、順を追って整理しています。
急な上達や、特別な才能を前提にした講座ではありません。提示される課題に沿って、一つずつ積み重ねていく構成です。誰かと比べるための学びではなく、自分のペースで、静かに続けていくための学びとして設計しています。
もし、今の自分に合いそうだと感じたら、以下より詳細をご覧ください。
Explanation of tools and how to hold. Please click to check.

Copyright Kimuratsu Kimura This teaching material and all contents are protected by copyright and intellectual property rights.
All reproduction, modification, duplication, etc. are prohibited without permission.