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小筆の使い始めで失敗しないために  

― 外側に腰毛があるタイプの小筆の場合 ―


小筆を初めて使うとき、「まず全て下ろしてから使うもの」と考える人は少なくありません。その結果、水につけて下ろそうとしたり、いきなり墨につけて使い始めてしまったりすることがあります。

しかし、外側に腰毛があるタイプの小筆において、その扱い方は筆を傷める原因になります。しかも実は、書道で使われている小筆の多くは、この「外側に腰毛があるタイプ」なのです。

この記事では、小筆の使い始めで起こりやすい勘違いと、外側に腰毛がある小筆を安全に使い始めるための基本を、構造から整理します。



この記事で扱う「小筆」について


ここで説明する内容は、外側に腰毛(こしげ)があるタイプの小筆を対象としています。

  • 大筆のように、腰毛が内側にセットされている筆

  • 腰毛のない水筆タイプ(画筆)

これらは構造も使い方も異なり、この記事の注意点は当てはまりません。


腰毛タイプの小筆画像
腰毛タイプの小筆


まず結論:外側に腰毛がある小筆は、全部を下ろさない


外側に腰毛があるタイプの小筆は、使い始めに筆全体を下ろす前提で作られていません

新品の小筆の穂先は、筆づくりの最終工程で、天然の糊によって丁寧に整えられています。

この糊は、穂先の形を保ち、線を安定させるために必要な構造の一部です。

ここに水や墨が一気に入り、筆全体が下ろされてしまうと、糊が根元から溶け、毛が広がりやすくなります。

一度開いた穂先は、元の形に戻りにくくなります。



なぜ間違えやすいのか


― 「下ろして使う」という前提のズレ ―


小筆の使い始めで、なぜ失敗が起こるのかー。

多くの初心者は、最初に固められている筆をどう扱えばよいのかを知りません。

そのため、

  • 水につけて下ろそうとする人

  • いきなり墨につけて使い始めてしまう人

どちらもいます。

共通しているのは、「筆は全て下ろしてから使うもの」という感覚です。

しかし、この感覚は、外側に腰毛があるタイプの小筆の構造とは合っていません。



小筆と他の筆との混同


ここで混同が起きやすい理由があります。

  • 書で使う小筆の多くは、外側に腰毛があるタイプ

  • 一方で、

    • 画筆は、ほぼ腰毛のない水筆タイプ

    • 大筆は、全体を下ろして使うのが原則。(大筆は、腰毛が内側に入っている場合も多いですが、その場合でも全て下ろして使います。)

これまでの図工や絵筆の経験、あるいは大筆の扱い方の感覚があると、

「筆=全部下ろしてよい」

と判断してしまいがちです。

この前提のズレが、小筆の使い始めで失敗が起きやすい一番の理由です。

これは、始めたばかりの人だけでなく、経験のある人や、プロであっても、意外と気づかないことがあります。


正しいおろし方


― 穂先の三分の一だけを動かす ―


外側に腰毛があるタイプの小筆の正しい使い始め方は、とてもシンプルです。

  1. 濡らしたティッシュを用意する

  2. 穂先の三分の一だけを、やさしく拭う

  3. 筆全体ではなく、先端だけを「少し目覚めさせる」ように扱う

ポイントは、筆全体を動かさないこと

穂先の動きが確認できれば、それで十分です。

このひと手間で、筆の寿命も、線の安定感も、大きく変わります。



NG例について


このテーマの動画では、使い古した筆を使って、あえてNG例を撮影しています

新品の小筆では、同じことを試さないでください。


インスタグラム画像タイトル
(↑クリックするとInstagramのリール動画が開きます)

小筆の使い始め:糊は「落とすもの」ではない


新品の小筆についている糊は、最初にすべて落とすものではありません。

穂先の形を守り、線を整えるために必要な構造です。

使い始めにどう扱うかで、その筆が持つ本来の性能を引き出せるかどうかが決まります。



まとめ:構造に合った使い始めを知る


筆は、ただの道具ではありません。筆の状態は、そのまま線に表れます。

外側に腰毛があるタイプの小筆は、「全部を下ろして使う筆」ではありません

まずは、構造に合った使い始めを知ること。

それが、小筆と長く付き合うための第一歩です。



次回予告


次回は、外側に腰毛があるタイプの小筆の構造と、扱い方の基本を整理します。なぜ扱い方が水筆タイプや大筆と違うのかを、もう一段深く見ていきます。



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